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自宅録音の達人が聴く、高音質コンポの進化形

ケンウッドの音質マイスターによる自信作「K1000」を高音質で定評のあるparis matchはどう聴く?
インタヴュー/文:大塚康一  写真:小嶋秀雄
シンコーミュージック・エンタテイメント THE DIG JAPAN EDITION 掲載
 良い音のCDは、良い音のコンポで再生すれば、さらに良い音いなる。至極当たり前のことだが、「paris match」の杉山洋介さんとミズノマリさんをゲストにお招きした今回の試聴では、改めてそう思わされたものだ。
  ちなみに彼等のアルバム『after six』は、2006年の日本レコード最優秀録音賞(CDパッケージ部門)に輝いたというから、まさに良い音のCDそのものだ。しかも驚くことに、対象曲は自宅録音&自宅ミックスだったという。これはケンウッドの音質マイスターが手掛けたK1000にとっても不足のない、いや手強いリスナーになりそうだ。
  そんな期待と不安を抱きつつ、早速試聴のスタートである。
■ドナルド・フェイゲン 『モーフ・ザ・キャット』
  まず、杉山氏持参の良音CD定番、フェイゲンのアルバムを聴く。小さめの音量で再生するため、プリメインアンプR-K1000-Nでフィーチャーされた機能のひとつ、「Clear A」モードで聴いてみた。
  「クリアーで、特にタムの音が気持ち良かったです。小さい音で、ちゃんと聴けるというのが良いですよね」(杉山)
  Clear Aとは、いわゆるA級動作に近い、小音量再生時に音楽信号の再現性を向上させる機能。アンプにおけるA級動作は、簡単に言えば大音量時のAB級動作と違い、音質を最優先した贅沢なモードのことだ。実際には音量に反比例して電源を常にフルパワーで働かせる非エコな仕様なのだが、Clear Aは違う。小出力の専用電源へ切り替えることにより、合理的にアンプ部の安定動作と歪みを抑えた信号増幅を実現している。
  こうした工夫の結果、深夜やスピーカーの近くなど、小音量で聴く場合でも音像の輪郭がぼやけることがなく、表情豊かな高音質再生が楽しめるというわけだ。
■paris match 『after six』
 とりあえず好感触を得たようなので、次に例の『after six』を聴く。杉山さんは、比較的大きな音量で再生していた。
  「大きい音で聴いてもうるさくないというか、耳に刺さってくる感じがないので痛くない。デジタルっぽくない、といいますかね」(杉山)
  杉山さんによると、paris matchの音は、ずっと Pro Toolsを使って96kHzサンプリング/24ビットで録っているそうだ。CDは44.1kHz/16ビットなので、その高音質さが判ろうというもの。
 
  また、そうしたソースを再生するには、当然スピーカーのポテンシャルも重要だ。K1000のスピーカーは、12センチウーファーの、形式としてはオーソドックスな2ウェイバスレフ型。しかし、MDF材の強固なキャビネットは、新開発の曲面バッフルとツイーター/ウーファーの前後位置を調整して音の到達時間を合わせるUD(ユニフォームドディレイ)レイアウトを採用している。特にツイーターのホーンとバッフルが微妙なカーブで一体化しており、高域の滑らかな再生に大きく貢献していると思われる。
  さらに、CDプレーヤーDP-K1000-Nに搭載されている、デジタル信号のジッター(時間軸のズレ)を防ぐD.P.A.C.回路や高性能で知られるウルフソン社製DACの効果もあるはず。耳に優しい音は、そんな細やかな設計からも生まれてくるのだ。
■クララ・ヒルズ・フォークウェイヴス 『Sideways』
  再びClear AモードをONにし、今度は女性ヴォーカルを再生してみた。ジャザノヴァ系の歌姫クララ・ヒルが、文字通りネオ・フォーク・スタイルで作ったアルバムである。
  「私のヴォーカル・タイプと似ていると言うか、結構声が小さくて、後ろが鳴っていて。どんな感じに聴こえるかなーと思って。音を小さくしても、Clear A(のスイッチ)を押すと、声もちゃんと聴こえてきますね」(ミズノ)
  つまり、ヴォーカルがバックのサウンドに埋没しないということだが、それはシステムの基本解像度が高いことに加え、Clear Aモードの低歪とバランスの良さから来るものだろう。
■マルーン5 『イット・ウォント・ビー・スーン・ビフォー・ロング』
  「これはちょっとロックなんですけど」といって彼女が取り出したのが、このCD。大ヒットした曲だけでなくPVもあらゆることろで流れた、マルーン5の「Makes Me Wonder」だ。
  「ロック系のCDの中では、家で聴いても、一番クリアーに聴こえるタイプ」(ミズノ)
  と、おっしゃるように、なかなか良いCDである。それは大音量はもちろん、Clear Aモードの小音量でも際立つ。切れの良いギターのカッティング、ソウルっぽいロックとも言うべきヴォーカル、厚いサウンド全てがご機嫌だった。
  「マスタリング・ソフトを通したみたいだね」(杉山)
  「そうだね。私も住宅事情的にも普段夜は大きな音で聴けないことが多いので、小さくしてもクリアーな音で聴けるのが良いですね」(ミズノ)
  ■paris match 『Flight 7』
  ラストに聴くのは、もちろんparis matchの最新アルバム『Flight 7』。
  「(彼女の声は)熱唱系じゃないんですが、小さな音でもちゃんと聴こえるのが良いですね」(杉山)
  それにしても、ミズノマリさんの声は素晴らしい。スムーズでヴェルヴェットのような艶を持ったアルトだ。この声とバックのサウンドを完璧に再生するには、確かにハイクオリティなシステムが必要だろう。恐らくK1000は、そうしたコンポの1つに違いない。
  といったところで、そろそろ時間になってしまった。試聴後の感想を、まとめて頂こう。
  「贅沢な音がしましたね。トーンコントロールは、全然入れてないんですよね?僕、入れるの好きじゃないんですよ。元々ああいうのでドンシャリにして、店頭で良い音風に競って聴かせて…みたいなの良くないですよ。最初っからフラットで聴くべき」(杉山)
  さすがクリエイター、オーディオの本質を把握なさっている。しかし、レコーディングでは、どのくらいの音量でモニターされるんでしょうか?
  「ミックスの作業では結局小さな音でバランス取るので、小さい音でちゃんと聴こえるのは良いですね。普通はジェネレック(註:フィンランド製のスタジオモニタースピーカー)のパワードとかでやってますが、最終チェックは普通のAUX IN(=外部ライン入力)の付いたラジカセに突っ込んで、皆さんが普通家で聴くぐらいの小さい音量で最終的に歌がどう聴こえるかとか、楽器のバランスをチェックしています。このシステムも、小さい音でちゃんと聴けるっていうか、バランスが判りやすい」(杉山)
  「私も家でそんなに大きな音で聴ける環境ではないので、小さな音でもクリアーに聴けるのがすごい素敵だし、特に自分の曲なんかは、派手めな曲だと小さくしててもヴォーカルがなるべく聴こえるように作ってはいるんですけど、家で聴いていると何となく埋もれちゃってる時もあるので…そういう点では、このシステムだと全てクリアーに聴けそうな感じで」(ミズノ)
  敢えて、外見についても伺ってみた。
  「デザイン的にもスッキリしてて良いですね」(杉山)
  「木の色の感じも良いし、洋介さんが好きなヘアライン仕上げも(笑)ちょうど良い感じです」(ミズノ)
  「ああ、良いですよね」(杉山)
  K1000のフロントパネルを見ると、アンプもCDプレーヤーも非常に厚いアルミが使われていることに気付く。これは見た目にゴージャスなイメージを与えるだけでなく、音質劣化の原因となる様々な振動を抑えて、より滑らかな音で再生するために効果的な仕様なのだ。フルデジタルアンプとCDプレーヤーのセパレートシステムは、まるでparis matchのお二人のように、絶妙のマッチングを見せて(聴かせて)くれているのである。
今回使用したソフト
   
   
ドナルド・フェイゲン
『モーフ・ザ・キャット』
ワーナー
WPCR-12246:06年
  paris match
『after six』
ビクター
VICL-61882:06年
  クララ・ヒルズ・フォークウェイヴス
『Sideways』
英Sonar Kollektiv
SK161CD:07年
  マルーン5
『イット・ウォント・ビー・スーン・ビフォー・ロング』
ユニバーサル
UICA-1031:07年
  paris match
『Flight 7』
アミューズソフトASCM-6010:08年
今回使用したシステム
コンパクトHi-Fiシステム K1000シリーズ
●レシーバー:R-K1000-N
希望小売価格:55,650円(本体価格 53,000円)
寸法: 270(W)×99(H)×318(D)mm
  ●スピーカーシステム:LS-K1000
希望小売価格:55,650円(本体価格 53,000円)[2本1組]
寸法: 168(W)×305(H)×270(D)mm
●CDプレーヤー:DP-K1000-N
希望小売価格:40,950円(本体価格 39,000円)
寸法: 270(W)×99(H)×296(D)mm
  組み合わせ合計価格 152,250円(本体価格 145,000円)
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