オーディオ・システムの役割は、音楽を作り手の意のままに、リスナーに伝えることだ。しかし現実問題として、いくらシステムの方がそれを忠実に実行していたとしても、リスナー側の条件によって実際に聴こえる音は違ってきてしまう。そこでシステム側は、何らかの”工夫”をして、リスナーにベストな音が届くようにする……というのが、現代オーディオの考え方だ。もちろん、元の音楽を改変するものではなく、あくまで再現するための手段としてである。
そんなK1000シリーズの工夫のひとつが、”Clear A”だ。音質面でオーディオ・アンプとしては理想とされる”A級動作”に近い状態を巧妙な仕組みによって実現するという機能である。K1000では、一般的なパワー優先の”AB級”と、リスナーの好みや再生時の音量によって、切り替えられるようになっている。 |
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『トニー・ベネット&ビル・エヴァンス』
まず、安部さんがお持ちになったCDから、トニー・ベネットを聴いてみる。最初は”Clear A”をオフにし、途中からオンにしてみた。
「ピアノが違いますよね。ホントに微妙なとこだけど」
A級動作には、デジタル・ソースで気になりがちな、歪み成分を目立たなくする効果もある。音質がまろやかになる感じだ。
「ロック系を聴くなら、AB級の方が良いかもしれませんね。体調とか天候によるかもしれませんけど(笑)。でもまあ、その人の好みが一番作用するでしょうね。いいな、これ」 |
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ジェイムズ・テイラー 『LIVE』
次に聴いたのは、ジェイムズ・テイラーのライヴである。これも、AB級でスタートして、途中で”Clear A”に切り換えてみる。
「良いですね。美しい。豊かというか、ふくよかだ。このサイズでこれだけ聴こえるってのは、凄いと思う。いつももっとでっかいヤツで聴いてるんですけども、想像以上に低音もちゃんと出てる。見た目で判断しちゃうと駄目だって感じがしましたね。ただ、スタジオで聴くヤツは、もっと高域がしっかり出ているというか、判断しやすいようになってますけど、これはどちらかというと優しい感じ。聴きやすい音だと思いますね。ミュージシャンって、リハーサルや本番で音量がでかい演奏をしているせいか、耳が相当疲れてて。しばらく音を聴かないでいればリフレッシュされて元に戻るんですが、そうすると高域の部分を求めがちなんですよね。ただ、僕はそんなに大きな音量では聴かないようにしているので、このぐらいだとちょうど良いなと思います。最近のCDは低音を持ち上げて作ってるのが多いので、ウチで再生するとどうしても低音
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ばっかり出てしまう。それが嫌で、敢えてその低音をカットするような方向で再生しなければいけないCDがあったりして、ちょっと変だなとは思ってるんですけども」
それが、このK1000ではちょうど良いバランスで聴こえるということらしい。 |
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スティーリー・ダン 『ガウチョ』
このコーナーの試聴でも人気のスティーリー・ダンは、CDそのもののクセがあらわになる興味深い結果となった。
「自分の家で聴いてるイメージは、もうちょっとヌケてると思ってたんですけども。だからその、中音の優しいふわっとする部分が、持ち上がって聴こえる。ただ、デジタル・リマスターの盤も出ているので、そっちの方が合うんじゃないかと思いましたね。昔のアナログ盤を聴いてもそうなんですよ。極力モノに近い感じで、中域が膨らんでるような、そういうのが多かったんですよね。昔はそれで上手くバランス取ってたんでしょうね」
なるほど、その辺りは機会を改めて、是非聴き比べてみることにしたい。 |
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安部恭弘 『I LOVE YOU 25th -Anniversary of Yasuhiro Abe-』
そして最後に、一番音が判っているということで、ご自分のCD。やはり”Clear A”をON/OFFして聴いてみた。
「こういうサウンドの時には、そんなに明確には差が出ないように思えますね」
確かに、そもそも安部さんのCDの音が非常に良いため、切り替えてもあまり差を感じない。しかも、サウンドはもちろん厚くて良い音なのだが、よくあるヴォーカルが部分的に突出しているのとは違い、パックの音と同じレンジの広さで聴こえてくるのだ。これは? |
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「ヴォーカルが強くないんですよね、元々。強く歌うべき楽曲もあるんですけども、最終的なイメージに基づいてマイクを選ぶわけですが、すぐ近くで歌っていても圧迫感のない録り方をして欲しいんです。それからミックスの時にイコライジングして締め過ぎると、本当に薄い感じになっちゃう。で、できるだけ大きいヴォーカリストがここにいて、それで全体と一緒にホールの中にちゃんといるっていうイメージに仕上げたい。その方向で、こういう音になっていきました」 |
特に、エコーの掛け方などにも、凄く神経を使っているのが聴き取れる。
「このリヴァーブ感に辿り着くのは大変ですね。これが使えるスタジオやエンジニアじゃないと、駄目だったと思いますけども。何人かのエンジニアと付き合っているうちに、その色が判ってきて、あの人で録るからこういう曲を作って行こうという逆のアプローチができるんですよね。ま、そういう意味では、非常にうまくいった例です。手前みそですけど(笑)」
その辺の音が、K1000は小さいけど出せるのが凄い、という。
「恐らくアンプの再生能力は、非常に高い。パワーもありそうなんで、でかいスピーカーで小さい音で聴く時には、相当余裕を持って鳴るんだろうなと思いますね。買いますか!(笑)」
今まで試聴して頂いたアーティストは、皆さんK1000を気に入ってもらえたのだが、ここまではっきり仰るのは安部さんが初だった。
「この値段と大きさと、あとイメージからはビックリするほど、まとまったクオリティのサウンドだと思います。ま、スピーカーのコーンが小さいので低音が物足りないかなと思ったんですけど、その辺も解消されてるし。だから、買っちゃおうと(笑)いう気になりましたね」
次回は、安部さんのお宅にセットされた(笑)K1000で、試聴しましょうかね? |
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| 今回使用したソフト |
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トニー・ベネット&ビル・エヴァンス
『トニー・ベネット&ビル・エヴァンス』
(ビクター:75年) |
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スティーリー・ダン
『ガウチョ』
(ユニバーサル:80年) |
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ジェイムズ・テイラー
『LIVE』
(米Columbia:93年) |
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| 今回使用したシステム |
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| コンパクトHi-Fiシステム K1000シリーズ |
●レシーバー:R-K1000-N
希望小売価格:55,650円(本体価格 53,000円)
寸法: 270(W)×99(H)×318(D)mm |
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●スピーカーシステム:LS-K1000
希望小売価格:55,650円(本体価格 53,000円)[2本1組]
寸法: 168(W)×305(H)×270(D)mm |
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●CDプレーヤー:DP-K1000-N
希望小売価格:40,950円(本体価格 39,000円)
寸法: 270(W)×99(H)×296(D)mm |
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組み合わせ合計価格 152,250円(本体価格 145,000円) |
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